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仙台高等裁判所 昭和55年(う)147号 判決 1982年5月25日

控訴人 被告人・検察官

被告人 齋藤正子

検察官 出口明良

主文

原判決を破棄する。

被告人を罰金二万円に処する。

右罰金を完納することができないときは二、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

被告人に対し、公職選挙法二五二条一項の選挙権および被選挙権を有しない期間を二年間に短縮する。

原審及び当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

本件控訴の趣意は、検察官三野昌伸提出(検察官酒井清夫作成)の控訴趣意書、被告人提出の控訴趣意書及び弁護人菅原一郎・同沢藤統一郎・同増田祥・同斉藤忠昭・同高橋輝雄・同石神均(以下、弁護人全員を包括して単に「弁護人」という。)連名提出の控訴趣意書記載のとおり(ただし、弁護人は、被告人の控訴の趣意は、原裁判所は本件公訴が公訴権を濫用した無効なものであるのにこれを不法に受理した違法があるとの主張、原判決は被告人が配布した原判示の文書は選挙運動用文書ではないのにこれを選挙運動用文書と認定した点において事実の誤認があるとの主張、公職選挙法〔以下、「公選法」という。〕一四二条一項一号、二四三条三号が憲法二一条一項に違反する無効な規定であるのにこれを合憲有効と解釈して適用した原判決には法令適用め誤があるとの主張の三点に尽き、弁護人の控訴の趣意は、原裁判所は本件公訴が公訴権を濫用した無効なものであるのにこれを不法に受理した違法があるとの主張〔弁護人提出の控訴趣意書第一章関係〕、公選法一四二条一項一号、二四三条三号が憲法二一条一項に違反した無効な規定であるのにこれを合憲有効と解釈して適用した原判決には法令適用の誤があるとの主張〔弁護人提出の控訴趣意書第二章関係〕の二点に尽きると釈明した。)であり、弁護人及び被告人の控訴趣意に対する答弁は検察官中野林之助提出の答弁書記載のとおり、検察官の控訴趣意に対する答弁は弁護人提出の答弁書記載のとおりであるから、これらを引用する。

一  被告人及び弁護人の各控訴趣意中、公訴不法受理の違法がある、との主張について

所論はいずれも、本件は、被告人が日ごろから国民大衆と密着し、国民大衆に影響力をもつた共産党の釜石市議会議員であつたことから、同市民に対する共産党の影響力を弱体化させ、その勢力の前進を阻もうとする政治的意図のもとに警察及び検察官が一体となつて被告人を検挙したものであり、これは憲法一四条一項に違反する差別捜査にほかならず、また同時に同法一九条、二一条、三一条にも違反するから、本件公訴は公訴権を濫用した不当無効な公訴である、というのである。

しかしながら、原審で取調べられた関係各証拠を精査検討しても、検察官が、所論のような目的のもとに警察と一体となつて被告人を検挙したと認めるに足りる事実が認められないばかりでなく、本件公訴の提起につきこれを無効ならしめるような違法事実の存在を認めることができず、当審における事実取調べの結果によつても右認定を左右するに足りない。

してみれば、公訴権濫用の事実が認められないとして本件公訴を受理し審判した原裁判所の判断は結局正当であり、所論は採用することができない。論旨はいずれも理由がない。

二  被告人の控訴趣意中、事実誤認の主張について

所論は、被告人が配布した原判示の文書は公選法一四二条一項にいう選挙運動のために使用する文書(選挙運動用文書)に当らない、というのである。

所論にかんがみ検討するに、同条項にいう選挙運動用文書とは、その文書の外形内容自体からみて選挙運動のために使用すると推知されうる文書をいうと解するのが相当である(最高昭和三六・三・一七、二小判。刑集一五・三・五二七参照)。これを本件についてみると、原審で取調べられた関係証拠によれば、原判示の各文書(盛岡地方裁判所遠野支部昭和五二年押第九号〔仙台高等裁判所昭和五五年押第四二号〕の1から6まで)は、縦約一八・一センチメートル、横約一二・七センチメートルの縦長の長方形のカラー印刷による文書で、その一方の面には、その面積の約三分の二を占める枠の中に、柏さくじの上半身の写真と「柏かしわさくじ」の大文字と「党県教育文化部長」の小文字が印刷され、その枠の下に横書きで柏さくじの略歴が記載され、更にその下に柏さくじ後援会県センターという文字とその所在地及び電話番号が印刷され、他の面には、上、中、下の三段に分かれた上段の半分強の部分に、日本共産党中央委員会書記局長の顔写真及びその氏名並びに同書記局長の推せん文として、「柏が県民の一層の支援をえて国政の舞台で活躍するよう願う」旨の文章が印刷され、上段その余の部分に「柏さんを国会へ」の文字と映画監督、作曲家各一名の顔写真とその氏名が印刷され、その中段には作家一名の顔写真とその氏名が印刷されているほか日本共産党員が国会に多数進出することを期待する旨の文章が印刷され、下段には「私の決意柏さくじ」の見出しで、その政見なかんずく「私はバツチのない国会議員の意気ごみで頑張つてきた。教師としての体験を生かしどの子にもゆきとどいた教育を実現するため全力を尽くす」旨の文章が印刷されていることが認められるのであつて、文章の外形内容自体からみて選挙運動のために使用すると推知することができる文書であるというに足りる。すると、右各文書を公選法一四二条一項の選挙運動用文書に当るとした原裁判所の認定には事実の誤認がないから、論旨は理由がない。

三  被告人及び弁護人の各控訴趣意中法令適用の誤の主張並びに検察官の控訴趣意(法令適用の誤の主張)について

(一)  被告人及び弁護人の所論は、公選法一四二条一項一号及びその罰則規定である同法二四三条三号が憲法二一条一項に違反し無効な規定であるのにこれを合憲有効な規定と解釈して適用した原判決には法令の適用の誤がある、というのである。

所論にかんがみ一件記録を精査検討すると、原審で取調べられた関係証拠により原判示の罪となるべき事実を優に肯認することができるところ、原裁判所は公選法一四二条一項一号が合憲規定であると解釈し、右の罪となるべき事実に同条及びその罰則規定である同法二四三条三号を適用したことが明らかである。

(二)  検察官の所論は、原判決は、本件公訴事実中戸別訪問の点について、久保昭一と菅野マサ以外の者に対する戸別訪問の事実を認定しながら、公選法一三八条一項、その罰則規定である同法二三九条三号が憲法二一条一項に違反し無効であるとして無罪の判断をしたのは法令の解釈・適用に誤がある、というのである。

所論にかんがみ一件記録を精査検討すると、本件公訴事実のうち戸別訪問の点の要旨は、「被告人は、昭和五一年一二月五日施行の衆議院議員総選挙に際し、岩手県第一区から立候補した柏さくじの選挙運動者であるが、同候補者に当選を得しめる目的をもつて、同年一一月二二日及び二三日にわたり、同選挙区の選挙人である佐々木仲、菊池久、菊池ノブ、佐野福司、佐々木啓之、菊池志栄子、山崎レン、藤沢清蔵、中里スミ、久保昭一及び菅野マサの一一戸を戸々に訪問し右候補者のため投票を依頼した」というものであるところ、原判決は右のうち久保昭一及び菅野マサに対する関係では戸別訪問の事実の証明が不十分であるとして無罪とし、右両名以外の者に対する関係では戸別訪問の事実の存在を認定しながら、この行為に適用されるべき公選法一三八条一項、二三九条三号が憲法二一条一項に違反し無効であり、右の戸別訪問行為は罪にならないとして無罪としたことが認められ、右認定に反する証拠はない。そして、本件公訴事実中戸別訪問の点についてみると、原審で取調べられた関係各証拠により、被告人には久保昭一及び菅野マサ以外の者に対する関係で公選法一三八条一項に該当する戸別訪問行為があつたことを優に認めることができ、被告人の原審公判廷における供述中右認定に反する部分は信用できず、他に右認定に反する証拠はなく、当審における事実取調べの結果によつても右認定を左右されない。

(三)  さて公選法一四二条一項は、衆議院議員選挙を含む同法二条所定の公職選挙に関し一定枚数の葉書及びビラ又は一定枚数の葉書以外の文書の頒布を禁止しているところ、文書の頒布は選挙人に候補者の政策や政見について情報を提供し投票を依頼するという選挙運動の一態様であつて、政治的言論又は表現活動に属する行為であるから、同条項の右のような禁止は憲法二一条一項で保障された表現の自由を制約するものである。

また公選法一三八条一項によつて禁止される戸別訪問は、衆議院議員選挙を含む同法二条所定の公職選挙に関し候補者又はその支持者らが選挙人の住居などを訪問し、選挙人に候補者の政策や政見について情報を提供し、投票を依頼するという選挙運動の一形態であつて、政治的言論または表現活動に属する行為であるから、同条項が戸別訪問を一律に禁止しているのは憲法二一条一項で保障された表現の自由を制約するものである。

(四)  しかしながら表現の自由といえども、これを絶対無制限の権利とするときは他の個人の基本的人権または社会的利益と衝突することが起りうるから、あらゆる権利に内在する原理として、合理的理由があればある程度の制約が加えられても憲法二一条一項に反するものではないと解せられる。ことに選挙はもともと、各候補者が選挙の公正を確保するために定められたところに従つて運動すべきことを予定されているというべく、憲法四七条が国会議員の選挙に関する事項は法律が定めることとし選挙に関する事項をどのようにすべきものかについて立法政策に委ねているところ、その選挙に関する事項をどのように定めるかについてはある程度の裁量の幅が許容されており(必要最少限度の制約のみが許容されると解すべきではない。)、立法府たる国会は、わが国における選挙の実態など諸般の事情を考慮し、右の選挙に関する事項を定めることができるというべく、立法府が選挙に関し定めた(立法した)事項が不合理で裁量権の範囲を逸脱したと認められる特段の事由のない限り、右の立法は合憲適法なものとして尊重されるべきものと考える。

これを本件についてみると、

(1)  公選法一四二条一項は、その規定自体によつて明らかなとおり、選挙運動のためにする文書図画頒布の自由を全面的に制約するものではない。しかも現行公選法のもとにおいては、個々面接、電話による依頼、テレビ及びラジオによる政見放送、立会演説会など選挙人に候補者やその所属政党の主義、施策及び識見に関する情報を提供しその候補者に投票すべきことを訴えるいろいろな手段方法が許されているのである。しかして公選法一四二条一項が選挙運動のためにする文書図画の種類と数量について一定の制限を加えているのは、これを放任した場合において、経済的に富める者がそうでない者に比し選挙運動に著しい優位を占める結果となつて候補者間の実質的平等が害され、あるいは他候補者を中傷する文書が頒布されて熾烈・異常な選挙戦となつて選挙の公平さが害され、また巷に文書がはん濫してビラ公害を起すなどの弊害が発生することが十分に予測されるから、これらの点を種々勘案しその弊害を適当に防止し選挙の自由と公正を維持増進させようとすることに出たものと判断される。そして、このような種々の弊害が発生する蓋然性を否定できない現状下においては、文書図画による言論活動をその種類と数量とにおいて適当に規制することにより、政治的な言論、表現の自由がある程度制約されることになる不利益と、右のような弊害を抑止し選挙の自由及び公正を維持増進させうることとの利益とを批較し、後者の方がより重要であるとの立場をとることに十分の合理性があると認められる。従つて選挙運動用文書の種類と数量とにつき一定の制限を加えた公選法一四二条一項が不合理で裁量権の範囲を逸脱し憲法二一条一項に違反する無効な規定であるということはできず、従つてまたその罰則規定である公選法二四三条三号も憲法二一条一項に違反する無効な規定であるということができない。

(2)  次に公選法一三八条一項について考えるに、同条は同法二条の公職選挙に関し戸別訪問を全面的に禁止するものであるけれども、現行公選法のもとにおいては、個々面接、電話による依頼、テレビ、ラジオによる政見放送、立会演説会、枚数に制限があるけれどもはがき等文書による方法など、選挙人に候補者やその所属政党の主義、施策及び識見に関する情報を提供し、その候補者に投票すべきことを訴えるいろいろな手段方法が許されており、これらは戸別訪問と同じ種類の表現手段であるから、戸別訪問の禁止は選挙に関する特定の表現手段を全面的に規制するものではなく、場所及び方法に着目して部分的に規制するにすぎない。しかして公選法一三八条一項によつて戸別訪問を禁止しているのは、これを放任した場合において、候補者又はその支持者らが選挙人の住居その他公衆の目の届かない場所で選挙人と直接対面して投票依頼を行うものであるため、買収、威迫、利益誘導などの不正行為をする機会に利用され易いし、また候補者やその所属政党の主義、施策及び識見をもつて選挙人に訴えるよりも人情に訴え投票が情実に流されるおそれもあり、更に候補者が多数の選挙運動者を動員して無用、不当な戸別訪問を競い合い、経済力に恵まれた候補者が選挙運動において優位に立つなど候補者間の実質的平等が害されるなど選挙の公正さが損なわれるに至るなどの弊害が生じ、その反面で選挙人にとつて面識のない者から頻繁に訪問を受けその応接が煩に耐えられなくなり、生活の平穏が害されるに至る事態も十分に予想されるので、これらの点を種々勘案しその弊害を適当に防止し選挙の自由と公正を維持増進させようとすることに出たものと判断される。そしてこのような種々の弊害が発生する蓋然性を否定できない現状下においては、戸別訪問を禁止することにより政治的な言論、表現の自由がある程度制約されることになる不利益と、右のような弊害を抑止し選挙の自由及び公正を維持増進させうることとの利益とを比較し、後者の方がより重要であるとの立場をとることに十分の合理性があると認められる。従つて、戸別訪問を禁止した公選法一三八条一項が不合理で裁量権の範囲を逸脱し憲法二一条一項に違反する無効な規定であるということはできず、従つてまたその罰則規定である公選法二三九条三号も憲法二一条一項に違反する無効な規定であるということができない。

(五)  よつて公選法一四二条一項一号、二四三条三号を合憲規定と解しこれを原判示の罪となるべき事実に適用し有罪判決をした原判決は法令の解釈適用を誤つたことにはならないから、この点に関する被告人及び弁護人の論旨は理由がない。

しかしながら、久保昭一及び菅野マサ以外の者に対する関係で被告人に公選法一三八条一項該当の事実を認定しながら、この規定を憲法二一条一項に反する無効規定であると解釈し、同規定及びその罰則規定である公選法二三九条三号を適用せず無罪とした原判決には法令の解釈適用に誤があるというほかはない。しかしてこの誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は破棄を免れない。検察官の論旨は理由がある。

四  よつて原判決は破棄すべきものであるが、破棄の裁判に先立ち一言する。

本件は、戸別訪問の所為と法定外選挙運動用文書頒布の所為とをそれぞれ包括一罪とし、かつこの戸別訪問の罪と法定外選挙運動用文書頒布の罪とが一所為数法の関係にあるとして公訴提起がなされたものと解せられるところ、原裁判所は右公訴事実のうち法定外選挙運動用文書頒布の訴因については有罪とし、戸別訪間の訴因については無罪として判決理由中で無罪の判断を示し(前記認定のとおり、久保昭一と菅野マサの両名に対する関係では犯罪の証明がないとし、その余の者に対する関係では戸別訪問の事実を認めながらこれに適用されるべき公選法一三八条一項、二三九条三号が憲法二一条に違反する無効な規定であるとした。)、この判決に対し被告人側と検察官の双方から控訴があつたのであるが、たとえその控訴がその一方のみから提起されたとしても、その控訴提起の効力は右公訴事実の全部に及び、そのすべてが控訴審たる当審に移審するのである。

ところで一件記録によると、被告人側は右有罪部分全部につき原裁判所の判断を不服とするのであるが、検察官は右無罪部分のうち久保昭一と菅野マサの両名に関する部分以外の無罪部分についてのみ原裁判所の判断を不服としていることが明らかである。このように包括一罪及び一所為数法の関係にあるとして起訴された事実の一部について有罪、その余の部分について無罪とした第一審判決に対し、被告人と検察官の双方から控訴があつた場合においても、無罪とされた部分中の一部につき第一審裁判所のした事実認定に不服が主張されていないときは、控訴審としては、当事者主義を基本原則とし、かつ控訴審の性格を原則として事後審としている現行刑訴法の構造にかんがみ、その不服主張のない部分を攻防の対象から外されたものとし、その部分の事実認定につき職権調査を及ぼすべきではないと解する。それゆえ控訴審たる当審としては、久保昭一と菅野マサとに対する戸別訪問の事実の存否については攻防の対象から外されたものとし職権調査を及ぼすべきではないと判断した。もとより、原判決が破棄される以上右両名に対する戸別訪問の判断部分についても破棄の効力が及ぶのであるが、自判に当つては右の部分について原判決の無罪の結論に従うべきものと解するのである。

よつて、刑訴法三九七条一項、三八〇条により原判決を破棄し、同法四〇〇条但書を適用して当裁判所において直ちに判決をすることとするが、本件公訴事実中、被告人が久保昭一と菅野マサに対し戸別訪問をしたとの点については原判決の無罪の結論に従うものとし、その余の点について次のとおり判決をする。

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和五一年一二月五日施行の衆議院議員総選挙に際し、岩手県第一区から立候補した柏さくじの選挙運動者であるが、同候補者に投票を得させる目的で、別紙一覧表番号一から九までの記載のとおり、同年一一月二三日、同選挙区の選挙人である釜石市浜町三丁目五番一〇号佐々木仲ほか八名を同表記載の犯行場所であるそれぞれの住所に戸々に訪問し、同候補者のため投票を依頼し、かつ同表番号二、三、六、七、九及び一〇の記載のとおり、同月二二日及び右二三日の訪問の際、同市浜町三丁目四番一二号菊池久ほか五名に対し、「私の決意」との見出しで同候補者の政見を内容とする記事及び同候補者の写真、氏名、略歴等を掲載した当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に届け出をしない選挙運動用文書六枚を頒布し、もつて戸別訪問をするとともに法定外選挙運動用文書を頒布したものである。

(証拠の標目)<省略>

(法令の適用)

被告人の判示所為中戸別訪問の点は公選法一三八条一項、二三九条三号(包括して一罪)に、法定外選挙運動用文書頒布の点は同法一四二条一項一号、二四三条三号(包括して一罪)に各該当するところ、右は一個の行為で数個の罪名に触れる場合であるから刑法五四条一項前段、一〇条により重い法定外選挙運動用文書頒布罪の刑で処断することとしその所定刑中罰金刑を選択し、その罰金額の範囲内で被告人を罰金二万円に処し、刑法一八条を適用して右罰金を完納しないときは二、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により、被告人に対し公選法二五二条四項を適用して同条一項の選挙権及び被選挙権を有しない期間を二年間に短縮し、原審及び当審における訴訟費用は刑訴法一八一条本文によりこれを被告人に負担させることとし、主文のとおり判決をする。

(裁判長裁判官 中川文彦 裁判官 藤原昇治 裁判官 渡邊公雄)

別紙一覧表<省略>

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